マウスピースの金属アレルギーについて
最近、マウスピースの金属アレルギーの問い合わせが多くなっています。皆さんはマウスピースのリムの傷を気にしたことありますか?一般の方などは気にされている方が多いですが中高校生は学校の古いマウスピースをそのまま使っていたりします。
実はマウスピースのリムの傷は致命的でリムに傷があるマウスピースは使うことができません。
なぜなら、楽器を吹く上で唯一、口にあたる部分がマウスピースです。
マウスピースのリムの傷は直すことができません。
リムの傷口から唾が浸透していきアレルギー症状を引き起こしたりします。
目に見える傷なら、すぐ分かるので良いのですが、目では分からない傷も唾が浸透しているかもしれません。
新品のマウスピースを購入した時は大切に扱ってください。
鹿児島市にある小さな管楽器専門店です。
金管楽器ホルン、トランペット 、トロンボーンなどを得意としています。
各種楽器修理、販売。特に金管楽器(ホルン、トランペット、トロンボーンを得意としております。)
お店は小さく少し入りにくい雰囲気ですが、お気軽にお声掛けしてください。フルート、ホルン受講生募集中。
この記事では、マウスピースの金属アレルギーについて解説します。またメッキの種類にも触れております。
この記事で分かること
- マウスピースのリムの傷について
- マウスピースのメッキの種類について
- 金属アレルギーと思ったら皮膚科へGO
- アレルギーの原因を除去する
目次
金属アレルギーとは?
- 金属アレルギーは、特定の金属に対する過敏反応が引き起こす免疫反応の一種です。
- 主な原因として、ニッケル、クロム、コバルトなどの金属が挙げられます。
- 金属アレルギーは皮膚炎、かゆみ、発疹、湿疹などの症状を引き起こすことがあります。
- 金属アレルギーの診断は、皮膚テストや血液検査によって行われることがあります。
- 金属アレルギーの対処法としては、原因となる金属を避けることや、皮膚保護剤の使用などがあります。
- 金属アレルギーの治療には、ステロイド軟膏や抗ヒスタミン薬などの薬物療法が使われることがあります。
- 重度の場合や症状が持続する場合には、皮膚科医やアレルギストによる治療や管理が必要です。
- 金属アレルギーは、ジュエリーや金属の装飾品、歯の詰め物などの日常的な接触によって引き起こされることがよくあります。
楽器やマウスピースの材料
- 真鍮(ブラス):
- 金管楽器の主要な部品の多くは真鍮で作られています。真鍮は銅と亜鉛の合金であり、耐食性があり、加工しやすく、音を良く伝える性質があります。トランペットやトロンボーン、チューバなどの外側の筒状の部品に使用されます。
真鍮自体は一般的に皮膚アレルギーを引き起こすことはありません。しかし、真鍮製品が含有する他の金属、特にニッケルや鉛など、アレルギー反応を引き起こす可能性のある金属が含まれている場合があります。具体的には、真鍮製のジュエリーや金属部品の表面が銀メッキやクロムメッキされている場合、その下に含まれるニッケルが皮膚アレルギーを引き起こすことがあります。ただし、純粋な真鍮にアレルギー反応が起こることは非常にまれです。
アレルギーでニッケルは非常に多いですね。
皮膚科へGO
皮膚科でのアレルギーパッチテストは、患者の皮膚に特定のアレルゲンに対するアレルギー反応を評価するための標準的な検査方法です。以下に、その手順とプロセスを簡単に説明します:
- アレルゲンの選択:
- 患者の症状や医師の疑いに基づいて、テストに使用するアレルゲンが選択されます。一般的なアレルゲンには、金属(例:ニッケル、クロム)、化粧品、薬剤、植物、防腐剤などがあります。
- テストの準備:
- テストのための特殊なテストパッチにアレルゲンが含まれています。これらのパッチは、患者の背中や腕の皮膚に貼り付けられます。
- パッチの貼付け:
- アレルゲンを含むパッチが、患者の背中や腕の皮膚に貼り付けられます。通常は、24〜48時間の間パッチが貼られたままにされます。
- パッチの取り外し:
- 一定期間が経過した後、パッチは取り外されます。皮膚がパッチに対して反応していれば、アレルギー反応の兆候が見られるかもしれません。
- 結果の評価:
- パッチを取り外した後、医師は皮膚の反応を評価します。アレルギー反応がある場合、皮膚が赤くなったり、腫れたり、かゆみを引き起こすかもしれません。
- 結果の説明と処方:
- 医師は患者に結果を説明し、必要に応じて適切な治療法やアレルギーを引き起こす物質を避ける方法についてアドバイスを提供します。
アレルギーパッチテストは、特定のアレルギー反応を特定するのに役立ちますが、他のアレルギー検査と併用されることがあります。
パッチテストで何の金属がNGか知ろう
金属アレルギーによく関連する素材は次の通りです:
- ニッケル:
- ニッケルは非常に一般的な金属アレルギーの原因です。多くのジュエリー、時計、ベルトバックル、コイン、眼鏡のフレーム、ファスナーなどの製品に含まれています。
- クロム:
- クロムも金属アレルギーを引き起こす原因となります。主に皮膚接触によって起こり、ジュエリーや金属の装飾品、工業製品などに使用されます。
- コバルト:
- コバルトも金属アレルギーの原因となります。特に人工関節などの医療用デバイスに使用されています。
- 銀:
- 純粋な銀は一般的に金属アレルギーの原因ではありませんが、銀製品が他の金属でコーティングされている場合、その下に含まれる金属、例えばニッケル、がアレルギー反応を引き起こす可能性があります。
これらの金属は、皮膚アレルギーを引き起こす可能性が高いため、特に金属の装飾品や日常的な接触に注意が必要です。
自分が使っているマウスピースの状態を観察しよう
少し見にくい画像ですがリム表面はザラザラで傷だらけです。
この状態のマウスピースを使っている場合は皮膚科に行く前にマウスピースを新品にしてから様子見しましょう。
表面の傷がなければ浸透することもないためアレルギーを引き起こさないかもしれません。
楽器を吹くために、マウスピースは唯一、口に当たる(咥える)部分です。
多少、楽器が古くても問題ないですが、マウスピースだけは学校備品を使わず新品を購入しましょう。
安価なマウスピースだとヤマハ製があるので、初心者の頃は、ヤマハのマウスピースを購入し使うといいですね。
ある程度、吹けるようになれば有名なメイカーのマウスピースを試すと良いと思います。
ただしマウスピースの購入は必ず吹いてから購入してください。
次回記事ではマウスピースの選びから、サイズなども紹介していきます。
学生の頃は超高額なマウスピースは避けよう。落下、紛失などした場合、すぐお店で購入可能なマウスピースが良い。トランペット、トロンボーン ならバック、ホルンだとティルツ、JKなど
メッキの種類を知ろう
写真のトロンボーンマウスピースは「プラチナメッキ」です。
ここで金属アレルギーの原因となる金属イオンについて解説
金属イオンによる金属アレルギーは、一般的な金属アレルギーの一形態であり、金属イオンが皮膚や粘膜に触れた際に引き起こされるアレルギー反応のことを指します。これは、金属が酸化されてイオン化された状態で皮膚に接触することで、免疫システムが過剰に反応することによって引き起こされます。
金属イオンによるアレルギー反応は、通常、金属製品が皮膚に接触することで発生します。例えば、ジュエリーや時計、眼鏡のフレーム、ベルトバックル、金属のボタンなどの金属製品が該当します。これらの製品は、皮膚との接触によって摩擦や汗などによって金属イオンが放出され、それがアレルギー反応を引き起こす可能性があります。
典型的な金属アレルギー反応には、皮膚のかゆみ、発疹、赤み、腫れ、水疱、皮膚の乾燥などが含まれます。重度の場合、湿疹や皮膚の炎症が起こることがあります。
金属アレルギーの中でも、特にニッケルやクロム、コバルトなどの金属イオンに対するアレルギー反応がよく知られています。これらの金属は、多くの日常的な金属製品に使用されており、それらが皮膚に接触することでアレルギー反応を引き起こすことがあります。
金メッキ
ゴールドメッキは、基本的に金属の表面に金を薄くコーティングするプロセスです。これにより、金属の外観が金で覆われ、金の外観や特性を持つことができますが、実際には金でできているわけではありません。ゴールドメッキは、貴金属の見た目を持ちながら、より経済的な価格で製品を提供するために使用されます。
ゴールドメッキのプロセスは、主に次のような手順で行われます:
- 清掃と下地処理:
- メッキされる表面を徹底的に清掃し、適切な下地処理を行います。これにより、金メッキの密着性と耐久性が向上します。
- 下地金属への金の付着:
- 清掃された表面に特殊な方法で金を付着させます。これにより、金属の表面が金で覆われることになります。
- 仕上げと研磨:
- 金が付着した後、表面を研磨して均一な仕上げを行います。これにより、光沢が増し、美しい仕上がりとなります。
ゴールドメッキは、ジュエリー、時計、フレーム、食器などのさまざまな製品に使用されます。このプロセスにより、金属製品に高級感と豪華さを与えることができますが、実際の金使用量は非常に少ないため、コストが抑えられます。
ピンクゴールド
ピンクゴールドは、一般的には金と銅の合金です。通常、24K(純金)の純度は高すぎて柔らかすぎるため、ジュエリーなどの製品には使用されません。そのため、他の金属と合金化されて硬度と耐久性を高める必要があります。ピンクゴールドは、銅を金に混ぜることで製造されます。銅の添加により、ゴールドに赤みが加わり、特有のピンク色が生まれます。
プラチナメッキ
プラチナメッキは、金属の表面にプラチナを薄くメッキします。これにより、製品の外観や耐久性を向上させ、プラチナの高級感を提供します。一般的なプラチナメッキの手順は以下の通りです:
- 清掃と下地処理:
- メッキされる金属表面を徹底的に清掃し、適切な下地処理を行います。これにより、プラチナが密着しやすくなります。
- プラチナのメッキ:
- 清掃された表面にプラチナがメッキされます。通常、プラチナメッキは電気めっき法(電気めっき)または化学めっき法(化学メッキ)を使用して行われます。このプロセスにより、金属の表面がプラチナで覆われます。
- 仕上げ:
- プラチナメッキされた表面を仕上げて、均一で美しい光沢を得ます。
プラチナメッキは、ジュエリー、時計、食器、装飾品などの様々な製品に使用されます。プラチナは非常に高価で貴重な金属であり、メッキすることでプラチナの高級感を持つ製品をより手頃な価格で提供することができます。
プラチナ自体は、一般的に金属アレルギーを引き起こすことはありません。したがって、通常、プラチナメッキ製品は皮膚アレルギーのリスクが低いと考えられます。ただし、プラチナメッキ製品の下に使用される金属やメッキの厚さによっては、アレルギー反応を引き起こす可能性がある金属が含まれている場合があります。
金属イオンとアレルギー
例えばピンクゴールドの場合、金に銅、銀、パラジウムが含まれています。
銅とバラジウムによるアレルギー反応は一般的ではありませんが、まれに報告されています。ここでは、それぞれの金属に関するアレルギーについて説明します:
- 銅アレルギー:
銅アレルギーは比較的まれであり、通常は皮膚アレルギーの一部として報告されます。銅自体がアレルギーを引き起こすことは珍しいですが、銅製品が摩擦や汗との接触によって銅イオンを放出し、それが皮膚に反応する可能性があります。症状には、かゆみ、発疹、赤み、腫れなどが含まれます。 - バラジウムアレルギー:
バラジウムアレルギーも非常にまれであり、報告されている事例は少ないです。バラジウムは、一部の合金や電子部品などの製造に使用されることがあります。バラジウムアレルギーの症状は、皮膚の接触によるもので、かゆみ、発疹、腫れ、かゆみの増加などがあります。
このように、どの金属でアレルギー反応が出るかでメッキも変わってきますが、ピンクゴールドのように他の金属が混じっているようなメッキはアレルギー反応が出ている人は避けた方が無難です。
メッキの中でも安全なのがプラチナメッキでしょう。
ただしプラチナメッキもメッキなので経年劣化で薄くなったり、剥げたりします。また冒頭で書いたようにリムに傷をつけるとマウスピースとしてはつけなくなりますのでご注意ください。
まとめ
- 口元にアレルギー反応が出た場合、リムの傷を確認する
- 傷がある場合は新品のマウスピースに交換し様子見
- それでも症状が出る場合は皮膚科に行きパッチテストをする
- どの金属で反応が出るか調べ楽器屋さんに相談する。
- ピンクゴールドは避けた方がいい
- プラスティックリムもあるので、リムが当たっている部分に症状がある場合は検討してみるのもアリ
参考文献 東邦大学 発汗の季節に増加しやすい「金属アレルギー」