楽器の運送保険「佐川急便」「クロネコヤマト」初めて知った事実
楽器を送ったりしますか?
オークションなどをやらない限り、個人で楽器を発送することは少ないのではないでしょうか。
楽器屋さんでは、梱包や発送の業務が多くあります。特にメーカーには専門のスタッフが常駐しています。発送業務には修理品と新品の楽器がありますが、今回のお話は「新品」ではなく「中古」楽器を発送した際の運送保険についてです。
鹿児島市にある小さな管楽器専門店です。
金管楽器ホルン、トランペット 、トロンボーンなどを得意としています。
各種楽器修理、販売。特に金管楽器(ホルン、トランペット、トロンボーンを得意としております。)
お店は小さく少し入りにくい雰囲気ですが、お気軽にお声掛けしてください。フルート、ホルン受講生募集中。
この記事の内容は「中古楽器」を送る時にかける保険のお話です。中古楽器にかける保険金額は時価額なのか市場価格なのか?
時価額=同等の物を現時点で再購入する場合の金額から、経年や使用による消耗分を差し引いた現在の物の価値のことをいいます。
市場価格=市場価格とは、商品やサービスが市場で取引される際に成立する価格のことを指します。この価格は、需要と供給のバランスによって決まり、市場の参加者(買い手と売り手)が合意する価格です。市場価格は常に変動しており、経済状況、競争、消費者の嗜好、供給の変動など、さまざまな要因に影響を受けます。
目次
運送保険 クロネコヤマト
新品の楽器発や中古楽器を送する時に荷物に保険をかけます。
クロネコヤマトは「300,000円」までであれば送り状を書いた段階で自動的についています。佐川急便は送り状に任意で保険金額を記入するシステムです。
クロネコヤマトメリット、デメリット
メリット
- ヤマトで送る荷物には30万ついている
デメリット
- 高額な商品でも30万までしか保証されない
高額な商品を発送する場合、300,000円の保険では心許ないですね。クロネコヤマトには絵画など高額な商品を送る時に使うプランがあります。ですが保険料や送料がバカ高く気軽には使えないです。
運送保険 佐川急便
保険料が300,000円以上の場合、うちでは全て佐川急便です。
ただし、ここで問題が。
楽器業界に30数年いて初めて知ったことなのですが…
中古楽器(修理品も含む)の保険は時価額で計算されるとのこと。
時価額=同等の物を現時点で再購入する場合の金額から、経年や使用による消耗分を差し引いた現在の物の価値のことをいいます。
年数が経っているが状態が良く人気もあり市場では高値で取引されている楽器であっても、経年や使用による消耗などを差し引いた現在の物の価値として査定されるため価格はかなり低くなります。
そうすると、このファイヤーバードは20万らしいです...
例えば、このファイヤーバードが、もう少し年数経って綺麗な状態だとしても10万〜15万ってなるのでしょうか。
運送事故(梱包から発送まで)
ミラフォンチューバ
ファイヤーバード F管。
10年ほど経っている個体です。
ハードケースなしのソフトケース
梱包はチューバ専用の段ボール
梱包材をたっぷり入れて発送。
一応ソフトケースなので何度も確認し梱包しています。
チューバでソフトケースということもあり梱包材は柔らかいソフト衝撃材を隙間なく詰めています。
保険金額は100万
定価が200万ほどのチューバです。年数が10年ほど経っています。万が一事故で破損した場合でも運送保険100万円で十分足りるかと思い、その金額をかけ発送しました。
事故内容
ロータリー部分の陥没です。
ちょっと画像が分かりにくいかも
この部分の修理はハンダ外さないとできません。
またハンダを外した時にラッカーも焦げてしまうので再塗装になります。
当然ここまでの修理は当店では不可能なのでチューバに詳しいメーカーに送り修理してもらうことになります。
ラッカー塗装がねぇ...
このサイズを塗装可能な設備を探す方が大変です。抜き差し管とかハンダで焦げた部分を塗装することは当店でも可能です。
ただ、ここまで大きいと無理っす。
今回の修理代は合計で40万ほど。
ほぼほぼラッカー塗装ですね。
佐川急便も店も「びっくり」な保険システム
通常の流れ
- 佐川急便さんと事故処理
- 楽器を送り、仕上がるのを待つばかり。
- 修理完了。保険金支払い
- 終了
時間はかかりますが通常の流れを簡単に説明しました。
ですが今回は、佐川急便さんも「びっくり」なことが勃発
なんと、かけていた100万の保険金で修理代金40万は満額出せないとのこと。
ざっくり説明すると
- 中古楽器は時価額で計算される
- 例えば200万の楽器でも十年経てば20万程度
- 市場価値は適用されない
30数年楽器屋にいて過去に何度か保険を利用したことあったけど初めて知りました。
そして担当の佐川さんも初めて知ったみたい。
今まで保険かけて事故が起きた場合、かけた金額内の修理代金は全て出ると思っていました。ちなみに佐川急便さんも運送保険は外注です。
店は運送費とは別に保険料を払います。その支払った金額を佐川さんが保険会社に払うってシステムらしいです。
今回のミラフォン ファイヤーバード
修理代金40万
保険屋の時価額で計算したファイヤーバード の価値は20万。画像見ていただければわかると思いますが、これで市場価値20万ないと思います...
うーんってなりますよね。
うち100万かけて、その分保険料(1000円)払っております。
これには私も佐川急便もびっくり。
楽器の運送事故って、小さな小売店だと滅多に起きないです。ですが楽器の運送保険は万が一事故が起きても良いように保証=安心をつけてるだけなんです。
結末
この運送保険の結末です。
結局、差額は佐川急便さんが支払いました。
保険屋さんが、そのチューバの価値は20万しかない!って言って、それ以上の保険金額を払うことはありませんでした。そうなると佐川急便さんが差額払うしかないですよね。
うちは保険料払って送っています。もちろん事故を起こした場合の金額を考え保険をかけています。また佐川急便も、荷物にかけた保険料を保険屋さんい支払っています。
一番涙目なのは佐川急便さんでしょうね...
この件から中古楽器(修理品や年数が経った楽器)を発送する場合、佐川急便よりクロネコヤマト(保険30万ついている)がいいと思います。
学校楽器とか古すぎて時価額で査定されると大変なことになりそうですし。
まとめ
- 新品の楽器は運送保険をかけた分だけ支払われる
- 中古楽器の保険は市場価格ではない
- 中古楽器を発送する際につける保険は運送会社に要確認
- 修理品の発送はクロネコヤマトがいい
いかがでしたか?
個人で楽器を発送したりすることは、まず無いかと思います。ですが、もし送ることがある場合は頭の片隅に入れていた方がいいと思います。
次回は楽器の保険について書いていきたいと思います。